散歩していると、道を掃除している人に良く会う。例外なく高齢者である。秋の落ち葉の頃、春の桜が終わった頃に道が葉っぱや花びらで散らかされる。掃除をしている人は、年期が入っているので無駄なくさっさとチリトリに入れていく。「風が吹いてきて、掃いてもきりがないですね」と言うとみな同意する。
こんな時に「掃くほどに 風がもてくる 落ち葉かな」という句が脳裏をかすめていた。確か良寛だったかなと思っていた。掃いても掃いても落ち葉が落ちてくる、イヤだなと思っていた。ある時、その句を調べてみると確かに良寛だが思い違いだったことを知り赤面した。
良寛の正しい句は「炊くほどは 風がもてくる 落ち葉かな」というもの。一人五合庵で暮らすためのご飯を炊くくらいの落ち葉は、風が運んでくれる。これで十分間に合う、ありがたいことだ、という意味だった。この山の中での暮らしは乏しくとも心は満ち足りたものだよ。これを知って少しは落ち葉掃除も嫌でなくなった。
「炊くほどは 風がもてくる 落ち葉かな」良寛
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