戦後80年という節目のせいか、最近はテレビで戦争映画がよく放映される。YouTubeで断片的に目にしたことのあった『ひまわり』も、通しで観たいと思っていた一本だ。今回、TVKで放送されたのを録画し、ようやくじっくり味わうことができた。 第二次世界大戦中、ナポリに住む若い女性ジョバンナ(ソフィア・ローレン)は、陽気で自由奔放なアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)と恋に落ち、結婚する。だが戦況が悪化し、アントニオはソ連戦線へ送られてしまう。戦後になっても彼は帰らず、ジョバンナは夫が生きていることを信じて極寒のソ連へ渡る。ひまわり畑の広がる地で、ついにアントニオの消息を知るが、彼は現地の若い女性マーシャ(リュドミラ・サベリーエワ)と家庭を築き、子どもまで授かっていた。 すべてを悟ったジョバンナは、深い悲しみを胸にイタリアへ戻り、やがて別の男性と家庭を持つ。ラスト、ナポリの駅でジョバンナとアントニオは再会する。互いに心は通じ合っている。だが、戦争が引き裂いた人生を取り戻すことはできない。二人は静かに別々の道を選ぶ。 ストーリー自体はシンプルだ。しかし、ヘンリー・マンシーニのテーマ曲をバックに映し出されるシーンは息をのむほど美しい。ウクライナのひまわり畑、凍てつく戦場、ナポリの陽光との落差。至るところに「戦争の悲惨さ」が埋め込まれている。ソフィア・ローレンの演技は圧倒的で、美しさと同時に、愛に突き動かされる女の情念の怖さすら感じさせる。もしこんな女性を連れ合いに持ったら、幸せなのか、それとも恐ろしいのか──観終わってからもそんなことを考えさせられる。 「戦争さえなければ」という思いが、ラストシーンの余韻とともに胸に迫る。『ひまわり』は、55年前の映画だが、戦後80年を迎えた今だからこそ、改めて観る価値のある映画だと感じた。